2022年12月ペルーの政治的混乱の中で起きた悲劇、働く子どもたち同志ダヴィトの死

いま、ペルーで何が起きているか

2021年7月28日に就任した元小学校教師のカスティヨ大統領は、その後一年半の間少数与党の国会から度々告発され続けてきた。ついに12月7日国会は「恒久的なモラルの欠如」という理由での罷免動議が130人の国会議員のうち101人の賛成多数で可決。大統領は即座に失職した。同じ日の朝、大統領は国会を解散して臨時政府を設立して制憲議会を招集すると宣言したことが政権による自主クーデターだとしてペルー検察当局は失職後のカスティヨ元大統領を国家反逆罪容疑で拘束し尋問を始めた。一方、国会は副大統領だったディア・ボルアルテ氏を同じ日に新大統領に任命。ペルー憲政史上最初の女性大統領が誕生した。


12月7日に起こったペルーの政治的騒乱とも見える動向は、その後国民の反発を受けてクスコ、プーノ、アレキパ、アヤクチョなどの空港をデモ隊が占拠。地域住民が幹線道路をブロックするなどして国内の治安は混乱している。一連のデモの過程で警官隊の暴力的な規制が続いた。

アプリマック県アンダーワイラス郡では15歳MNNATSOP所属のダヴィト君が警官隊の銃撃を頭に受け死亡したのを始め全国で20数名の死亡が確認されている。

12月14日には30日間の国家非常事態が宣言され国軍と警察隊による規制が強化された。

もとより地方都市の教職員組合委員長や自警団のリーダーだったカスティジョ氏がペルーの地方都市民農民の信任を受けて僅差でケイコ・フジモリ氏を破って大統領に就任して以来国会はカステジョ政権の閣僚の追い落としと大統領への弾劾に終始してきた。白人と白人になりたい層が支配するペルーの人口の半分を占めるリマ市と南北3000kmの海岸地帯の都市部の住民が作り出す人種差別的思考が山間部に生活するCampecinos (農民たち)の排除を目指すと思える政策が不平等を増進させている。

政治問題というよりむしろ独立200年が過ぎていまだに国民統合ができていない民族問題の噴出のようにみえる。

そんな中で子どもたちが犠牲になっている。

義井豊 Lima 2022.12.20

<声明>同志ダヴィトの死について :ペルー児童青年労働組織全国運動(MNNATSOPナソップ)

 

<声明>同志ダヴィトの死について

2022年12月12日、ペルー児童青年労働組織全国運動(MNNATSOPナソップ)は、私たちの同志であり友人であるダヴィト・アテキパ・キスペ(15歳、青年労働者でアプリマック州アンダワイラス郡のNNATS働く子どもたちメンバー)の死に対し、連帯の意を表します。

彼は、国家の政治的危機と戦うために、地域社会とともに抗議活動に参加していました。私たちは、彼の死を受け、次のことを主張します。

 

  1. 私たちは、両親、兄弟姉妹、そしてMNNATSOP ANDAHUAYLAS(ナソップ・アンダワイラス)の同志たちとの連帯を表明します。
  2. ダヴィトは10代の労働者で、バイクタクシーの運転手、農民として働き、家族の基本的な家計を支えていました。アンダワイラス郡のシモン・ボリバル・デ・タパヤ中学校の3年生の生徒で、抗議する権利を行使するために仲間と街頭に繰り出し、国に殺されました。
  3. 政府の最新の決定(大統領の国会解散宣言)に対し抗議した人々の死など、街頭での暴力、銃撃、地方で起きている不公正に対して、私たちは憤りを禁じ得ません。
  4. 私たちは、メディアに正しい報道を求め、表現の自由を市民権として尊重することを求めます。
  5. 私たちは、アンダワイラス郡の子どもたち、ダヴィトの仲間、友人たちに、この喪失の痛みを分かち合い、公正を求め戦っていくことを伝えたいと思います。


最後に、私たちは国連の子どもの権利委員会と人権団体に、あらゆる種類の暴力に終止符を打つため直ちに介入するよう要請します。

MNNATSOPナソップ
ペルー児童青年労働組織全国運動

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA